日本のエンタメ界で長年にわたり多彩な活躍を続ける鈴木杏樹さん。歌手KAKKOとしての
ロンドン挑戦から、月9ドラマや長寿音楽番組の司会、さらには『相棒』シリーズの女将役まで、国際性と地元愛が交錯するキャリアを詳しくご紹介します。
1. 兄弟・家族─支え合いが生んだ強さ
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神戸→箕面で育つ
1969年、兵庫県神戸市東灘区御影に生まれ。両親の仕事の都合で
大阪府箕面市にも在住し、小・中学時代を関西で過ごしました。 -
両親と弟
共働きの両親を助けるため、放課後はすぐ帰宅し、弟さんの夕食を準備する日々。
家族の絆と責任感はこの頃に養われました。 -
結婚と悲劇
1998年に駿河台日本大学病院の山形基夫先生と結婚。13年の連れ添いの末、2013年に
夫を病で失うという深い悲しみを経験。その後も「家族」の大切さを胸に、笑顔を取り戻しながら歩み続けています。
2. 英国で歌姫デビュー/KAKKO”時代の挑戦(1987–1990)
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スカウトからロンドンへ
インターナショナルスクール在学中の17歳、音楽学校でのレッスン中にCBSソニーの
酒井政利氏にスカウト。日本人として初めて欧州市場を狙う意図のもと、KAKKO名義で1987年に渡英。
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ストック・エイトキン・ウォーターマンと制作
ユーロビートの名門プロデューサー陣とシングル「We Should Be Dancing」
「What Kind Of Fool」を制作。UKチャート最高101位を記録し、現地ツアーも敢行。 -
湾岸戦争で帰国
1990年の湾岸戦争勃発を受け、事務所判断で「安全最優先」の帰国決定。
再び日本でのキャリア構築に向けて舵を切りました。
3. 女優&司会としての転身──ドラマデビューからCM女王へ(1992–1995)
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ドラマ初挑戦『十年愛』
1992年、TBS『十年愛』で谷美幸役に抜擢され“鈴木杏樹”として女優デビュー。
日本の視聴者に新鮮な存在感をアピール。 -
月9出演で一躍ブレイク
1993年10月、フジテレビ月9ドラマ『あすなろ白書』で東山星香を熱演。清楚で芯の強い
役柄が共感を呼び、同年末からCMオファーが殺到。2年連続で“CM女王と称されるほど企業からの引き合いが絶えませんでした。
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『ミュージックフェア』総合司会
1995年10月よりフジテレビ『ミュージックフェア』6代目総合司会に就任。在任20年半と
いう歴代最長記録を樹立。歌手としてのバックボーンを生かし、多彩なアーティストを
引き立て続けました。
4. 女優としてのさらなる飛躍──『相棒』女将役から映画主演まで(2006–現在)
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『相棒』小料理屋「花の里」女将・月本幸子
2006年にゲスト出演後、2012年1月からレギュラーに昇格。水谷豊さん演じる杉下右京ら
特命係を支える女将として、温かくも凜とした存在感を発揮。2019年までシリーズを牽引
しました。 -
映画初主演『ライアの祈り』
デビュー24年目の2015年、アイエス・フィールド配給のヒューマンドラマで初主演。
女優としての円熟味と深い演技力が高く評価されました。 -
近年の活動
ドラマ・舞台・バラエティ・情報番組でのMC・ナレーションまで、その守備範囲は極めて
広範。2022年にはNHK『おげんさんといっしょ』へのKAKKO復活出演など、新たな挑戦を重ねています。
5. 地元・神戸&箕面への想い─なんちゃって関西人”のルーツ
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御影の弓弦羽神社
幼少期に書道を習った社務所が身近な遊び場。当時の思い出が、今も時折
インスタ投稿で語られることも。 -
箕面での学生生活
小中学時代を過ごした箕面では、関西ならではの味覚や人懐こい人情に触れ、
帰国後の慌ただしい生活の中でも「関西の味」が心の支えに。 -
なんちゃって関西人エピソード
関西在住は17歳までながら、バラエティで「案内役」に抜擢されるも「17歳までしか
知らないなんちゃって神戸出身」と自虐。土地への愛着と同時に、成長とともに離れていった切なさもにじませます。
6. 鈴木杏樹という多重人格─歌姫、女優、司会者、ナレーター
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KAKKO時代の歌姫
英国挑戦で培った歌唱力とステージ度胸は、その後の歌番組司会にも生かされました。 -
月9ヒロイン
東山星香や渡辺襟華など、役ごとに異なる魅力を放ち、90年代ドラマの顔に。 -
長寿番組の顔
『ミュージックフェア』『ZIP!』『相棒』シリーズと、レギュラーを長期に務める安心感。 -
ナレーターとしての深み
旅行・ドキュメンタリー番組での語り口には、欧州文化と日本文化をつなぐ
橋渡しのような説得力があります。
まとめ
鈴木杏樹さんの人生は、17歳のロンドン行きから始まる“国境を越えた挑戦”と、神戸・箕面で
育まれた地元愛とがせめぎ合う多層的な物語です。
歌手、女優、司会者、ナレーター・どの顔も彼女の本質である「人を惹きつける純粋さ」と
「向上心」に裏打ちされており、今後も新たなステージで私たちを驚かせてくれることでしょう。
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