北海道広尾郡忠類村(現・幕別町)出身、酪農家の五人兄妹の末っ子として生まれた荒川弘
(あらかわ ひろむ、1973年5月8日生)。
『鋼の錬金術師』『銀の匙 Silver Spoon』『百姓貴族』など、幅広い作品で
国内外の読者を虜にしてきた錬金術師。
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兄弟・家族
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漫画家までの道のり
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地元・北海道情報
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裏ワザ・豆知識・口コミ
の4つの切り口で、その人となりと創作の源泉を深掘りします。
1. 兄弟・家族「酪農と畑作に汗する、五人姉弟の末っ子」
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五人きょうだいの末っ子
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姉3人、弟1人の五人兄妹。酪農とジャガイモ畑を営む実家では、家族総出で朝から
夕まで牛舎や畑仕事に精を出す毎日だった。漫画家デビュー前の7年間は、牛の世話から収穫作業まで手伝い、
厳しい農家の労働を肌で学ぶ。
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大型特殊免許保有
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畜産トラクターや大型収穫機を扱うため、農業高校卒業後に大型特殊自動車免許を
取得。実家の農作業を助けるだけでなく、後年『百姓貴族』でリアルに描かれる
大型農機の描写にも役立つ。
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空手黒帯の体力派
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高校時代は空手部に所属し、黒帯を取得。今も10kgダンベルを片手で持ち上げるほどの筋力を維持し、「農作業で培った体力+空手で鍛えた腕力」が、締切前の徹夜作業にもタフに耐え抜く原動力に。
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2. 漫画家までの道のり「ゲーメスト投稿から『ガンガン』大賞受賞まで」
2‑1. 投稿作家「エドモンド荒川」「ちきんぢょーぢ」時代
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ゲーメスト内イラスト&4コマ漫画
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新声社『コミックゲーメスト』に「エドモンド荒川」のペンネームでゲーム系
4コマを連載。翌年には、歴史投稿誌『歴史パラダイス』に「ちきんぢょーぢ」名義で
三国志4コマを掲載し、独自の歴史ギャグを発表。
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2‑2. 第9回エニックス21世紀マンガ大賞大賞(1999年)
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『STRAY DOG』で大賞受賞
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『月刊少年ガンガン』1999年8月号に、処女作『STRAY DOG』を掲載し大賞を獲得。以後、衛藤ヒロユキのアシスタントを経てプロの道へ。
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2‑3. 『鋼の錬金術師』連載開始(2001年)
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錬金術×ヒューマンドラマの融合
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月刊ガンガンで連載をスタート。理論的な錬金術設定と兄弟愛・国家陰謀を絡めた
壮大なストーリーで、瞬く間に人気作に。アニメ化・小説化・実写化を重ね、2010年完結まで息の長いヒットを記録。
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2‑4. 自伝的エッセイ漫画『百姓貴族』連載(2006年~)
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農家の日常を赤裸々に
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新書館『ウンポコ』でスタートし、今も『月刊ウィングス』で不定期連載中。
自家酪農&畑仕事の笑撃エピソードをリアルかつコミカルに描き、
農業の苦労と楽しさを伝える農民漫画の金字塔に。
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2‑5. 『銀の匙 Silver Spoon』連載(2011~2019年)
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農業高校を舞台にした青春群像
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週刊少年サンデーで全国農業高生の青春と成長を描き、作中の銘柄豚「八軒ファーム」などが話題に。作画の緻密さと人間ドラマに定評があり、小学館漫画賞など多数受賞。
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3. 地元・北海道情報 「酪農×食文化に育まれたクリエイティブ感性」
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忠類村(幕別町)の厳しい自然
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冬は氷点下20℃にもなる広大な十勝の大地。牛舎での給餌や雪下野菜の収穫体験が、後年の『百姓貴族』や『銀の匙』のリアルな農業描写につながる。
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地元グルメ「十勝バーガー」「幕別メロン」
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取材や原稿執筆の合間に訪れたい、地元産のメロンや手づくりバーガー店を紹介。
「百姓貴族」ファンの聖地巡礼スポットとしても人気。
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三国志ファンの聖地「歴史パラダイス」ゆかりのコーエー本社
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初期作品を投稿した誌面を偲び、横浜みなとみらいエリアの
コーエーテクモゲームス本社近隣に足を運ぶのも一興。
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4. 裏ワザ・豆知識・口コミ・荒川流“創作&情報発信テク
4‑1. 【構図&動線】酪農視点で描く臨場感
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牛舎のアングル:
実際の牛舎で見た給餌風景を、背景と人物の動きが重なるように構図化。
読者はまるで自分も牛舎にいるかのように没入。 -
トラクター走行ライン:
畝間を疾走する大型機械の軌跡を、パースとモノクロトーンで表現し、臨場感をアップ。
4‑2. 【タイトル回収】エピソード名の二重意味
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『銀の匙』:
小説『ゆるキャン△』のように、調理道具としての匙と学びの道具の
意味を同時に担うタイトル。 -
『黄泉のツガイ』:
和風ホラーと動物学的ペアの二義性を惜しげもなく掛け合わせ、読者の興味をそそる。
4‑3. 【愛読歴×ゲスト寄稿】業界ネットワーク術
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『トライガン』応援イラスト:
内藤泰弘先生にファンレター代わりに贈ったイラストが縁で、
後に作品トリビュートに参加。 -
同業者コラボ:
モリタイシ『いでじゅう!』と相互寄稿や、田中芳樹原作
『アルスラーン戦記』コミカライズなど人脈をクリエイティブに活用。
4‑4. 【投稿誌アーカイブ】初期作を再発掘
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光栄歴史投稿誌『歴史パラダイス』のリメイク4コマが、
『三国志魂』に収録。マニア間で“荒川伝説”を掘り起こす裏話に。
まとめ─荒川弘、その多面体の魅力を噛み締めて
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家族と大地のリアル体験が、農業漫画と人間ドラマの両立を可能に。
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投稿作~大賞受賞~連載デビューのストレートなシンデレラ・ロード。
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北海道ローカル情報を作品に活かし、舞台描写は他作家の追随を許さないリアリティ。
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構図・動線・タイトルの二重性など、プロの裏ワザで読者を引き込むテクニックが光る。
酪農家の娘から、錬金術の魔法で世界を魅了する漫画家へ・荒川弘さんの次なる化学変化が、
どんな物語を結晶させるのか。農業とファンタジー、人情と冒険を自在に錬成するその手腕に、
これからも目が離せません!
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