末次由紀が紡ぐ競技かるたの世界・博多・吉塚で育まれた夢と努力の軌跡

#漫画家

幼少期から「すえちゃん」と呼ばれた日々

福岡県福岡市博多区吉塚で育った末次由紀先生は、小学校時代からクラスメイトや先生に
すえちゃん」と親しまれていました。

通学路を挟んだ神社の境内で、友達とわらび餅を分け合いながら、物語を考えることが何よりの
楽しみだったそうです。

教室の隅ではノートの余白に四コマ漫画を描き、仲間に「続きを教えて」とせがまれるほど、
創作に夢中になる日々を送っていました。


兄弟と支え合う「めぐり合わせ」

末次先生には三つ年下の弟さんがおり、小学生の頃は共にマンガやアニメを鑑賞して過ごしていました。

弟さんは漫画制作に直接関わっていませんが、先生がストーリーを朗読すると、
いつも真剣な表情で耳を傾けてくれたそうです。

後年、末次先生はインタビューで「人生は人とのめぐり合わせがすべて」と語り、
家族の温かな応援が自信を育んだと振り返っています。


漫画家への夢を追い続けた吉塚時代

吉塚の町並みには古い神社や祭り、商店街の活気が息づいており、末次先生はその風景を
スケッチブックに写し取ることで、キャラクターたちの息遣いを感じ取っていました。

中学、高校と進むにつれて、同級生たちと同人誌を作ったり、文化祭の壁新聞にイラストを描いたりして、自分の手で物語を届ける喜びを知っていきます。

家庭でも「漫画しか描かない娘」と笑われながら、両親は黙って見守り続けてくれました。


デビューまでの道のり

高校卒業後、末次先生は美術専攻の短大に進学したという噂もありますが、公表された記録はありません。

当時も合間を縫っては投稿用の原稿を描き、少女漫画誌やマンガ賞へ積極的に応募し続けていました。1992年、高校在学中に投稿した『太陽のロマンス』が第14回なかよし新人まんが賞に入選し、『なかよし』でのプロデビューを果たします。

初の商業連載は大きな喜びとなり、編集部からのアドバイスを受けながら、
人物描写や台詞回しの基礎を着実に身につけていきました。


少女漫画で磨かれた技術と表現力

デビュー後、『君の白い羽根』や『エデンの花』、『セカンド・ラブ』などを手がける中で、
末次先生は登場人物の心情を繊細に描く技術を磨きました。

特に、主人公が抱える葛藤や友情の機微を丁寧に表現することで読者の共感を呼び、
担当編集者からは「すえちゃんのキャラクターは生きている」と評判を得ます。

背景美術やモノローグのバランスにも気を配りながら、画面全体で物語を語る
スタイルを確立しました。


『ちはやふる』誕生と競技かるたへの情熱

2007年、講談社『BE・LOVE』にて『ちはやふる』の連載を開始。末次先生は元々競技かるた未経験でしたが、取材のために全国のかるた会館や大会会場を訪れ、その奥深さと熱気に心を奪われます。

炭素のように真っ直ぐな主人公・千早をはじめ、太一や新の三角関係と友情、ライバルとの
切磋琢磨を生き生きと描き、「かるたはただのカルタではない、人生を映す鏡だ」と確信します。

実際の試合を見学し、詠み上げのリズム、札をはじく手の動き、心拍音さえ感じられる
緊迫感を原稿に落とし込みました。


裏ワザ・豆知識

  • 取材メモの活用
    末次先生はかるたのルールや和歌の意味を細かくメモし、後で読み返せるように
    ノートにまとめています。

    取材ノートには写真や音声メモも付記し、コマ割りやセリフの
    ニュアンスに反映させるそうです。

  • 和装の描写こだわり
    千早たちが着用する袴や羽織のしわ、帯の結び目はすべて手描き。
    単なる衣装としてではなく、キャラクターの個性や成長を示す「装いの言葉」として
    設計されています。

  • 「ちはやふる」のタイトル由来
    古今和歌集に詠まれた「ちはやぶる 神代も聞かず…」を歌い出しとし、千早の情熱と、
    かるたの速さ・激しさを重ね合わせたネーミング。複数の解釈を含む深みがあります。


口コミ―読者が語る『ちはやふる』の魅力

  • 「初めてルールを知らなくても、物語に引き込まれました」

  • 「かるたの詠み手の呼吸や札を取る音が聞こえてくるよう」

  • 「千早、太一、新…誰を応援するか毎回悩むほどキャラクターが魅力的」

  • 「友情と恋愛、勝負の熱さが絶妙にブレンドされている」

  • 「実写映画やアニメにも感動しました。舞台挨拶に足を運んだファンも多いです」


地元への恩返しと未来への展望

吉塚で培われた感性と「すえちゃん」の愛称で親しまれた温かい人柄を胸に、末次先生は
今後も新たなテーマに挑戦すると語っています。

競技かるたを通じて日本文化の魅力を世界に発信した『ちはやふる』は、その第一章を終えたに
過ぎません。

弟さんとの「めぐり合わせ」を大切に、これからも読者と共に歩む末次由紀先生の
物語をどうぞお楽しみに。

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