周華健(ワーキン・チャウ)―兄弟・家族・音楽の原点と故郷、歌手への歩みを辿る

#アーティスト

プロフィール

  • 本名(中国語):周華健(Zhōu Huájiàn)

  • 英語表記:Wakin Chau(以前はEmil Chau)

  • ニックネーム:「華健哥哥」(ファー・ジエンがーがー/兄さんの意)

  • 生年月日:1960年12月22日

  • 出身地:香港・九龍

  • 学歴:台湾大学中退

  • レーベル:ロックレコード(台湾)、スターフェリー(擺渡人)創業者

1970~80年代、香港で育ち、1980年代後半から台湾を拠点に活動を開始。40年以上にわたり
世代を超える心に響く歌声”で中華圏を代表するシンガーソングライターとして君臨。


1.兄弟・家族――音楽の原点はリビングから

1-1. 大家族の末っ子として

両親と5人兄弟姉妹の末っ子として生まれ、にぎやかな食卓と笑い声が絶えない
家庭で育ちました。

長兄は楽器好き、次兄はカラオケ好きと「音楽好きの遺伝子」が家族全員に流れており、
幼い華健も自然とマイクを握るように。

1-2. リビングがステージに

父のジャズレコード、母の上海歌謡、姉のカントリーソング…あらゆるジャンルの音楽が流れる中、家族総出で“ホームライブ。

歌詞を間違えてもフォローし合う姿勢が、後の温かいステージングにつながりました。

1-3. 家族支援とデビューのチャンス

高校時代に買った初めてのエレキギターは親の厳しい反対を押し切って自らのアルバイトで手に
入れたもの。家族へ感謝を込め、社会人になって最初のヒット曲の印税は両親にプレゼントしたと言います。


2.歌手への道――パブのステージから武道館へ

2-1. 台北パブでの邂逅

1985年、台湾大学文学部在学中の華健は、学費を稼ぐために大学近くのパブで夜間アルバイト。

ギターの一本の弾き語りを続ける中、音楽プロデューサージョナサン・リー(李宗盛)の
目に留まり、翌年ロックレコードの制作助手として入社。業界の舞台裏を学びつつ、
自身の声を磨く機会を得ます。

2-2. 1986年デビューと初期ヒット

1986年9月、シングル「永遠的心」で正式デビュー。デビュー作ながら台湾・香港のラジオ
チャート上位にランクインし、瞬く間に若手有望株に。続く2ndシングル「忘憂草」
(宇徳敬子の「忘れな草」カバー)は静かなヒットを記録。

2-3. 自作曲と名曲カバーの両輪戦略

  • 自作曲:1990年の「花心」は華健自身の作詞作曲で、中華圏の定番バラードに

  • 日本曲カバー:CHAGE and ASKA「男と女」は「讓我歡喜讓我憂」として大ヒット。
    日本ファンの間でも知名度を高めました。

2-4. 受賞と国際的評価

  • 1993年:台湾金曲獎・男性歌手部門受賞

  • 1996年:米ビルボード誌「チャイニーズ・ポップスNo.1シンガーソングライター賞」

  • 日本武道館公演
    2023年ジョナサン・リー公演サプライズゲスト、2024年には
    単独公演で満員の武道館を沸かせました。


3.地元情報―香港と台北、ふたつの心のふるさと

3-1. 香港―多文化の調和

  • 九龍の路地裏旺角の夜市
    幼少期の思い出。屋台の煮込みや麺類の香りが、歌詞に散りばめられた心象風景の源泉に

  • 映画カメオ出演
    ジャッキー・チェン作品『レッド・ブロンクス』『ナイスガイ』
    『ゴージャス』で香港映画界とも縁を持つ

3-2. 台北―歌声を磨いた都市

  • 古本屋街・師大夜市
    大学時代の遊び場。安い夜市フードを食べ歩きながら、ギターを抱えて即興ステージ

  • Legacy Taipeiなどライブハウス:デビュー前、数十人規模の観客を相手に何度も歌唱。
    ファンとの距離感を掴んだ場所


4.プロデューサー&実業家として

4-1. スターフェリー(擺渡人)の設立

1992年、自ら立ち上げた制作会社「スターフェリー(擺渡人)」では、自身のアルバム制作の
みならず、新人アーティストの発掘・育成をスタート。

台湾の次世代ヒットメーカーを多数世に送り出しました。

4-2. Super Bandへの参加

2008年~2010年、ロックレコード大物シンガー4名によるバンド「Super Band」の
一員としてツアー公演を行い、ロックテイストのステージも披露。


5.知られざるエピソード

  • 二度の名前変更
    幼年期の広東語読み「Wakin」を2000年頃から英語名として採用。日本では
    「エミール・チャウ」表記が長らく定着しましたが、2024年以降は
    「ワーキン・チャウ」で定着を図っています。

  • 台湾大学中退の理由
    「歌手として生きる覚悟」のため、自らの音楽活動に専念する道を選択。

  • 親子代々の音楽愛好家
    コンサートではしばしば客席に母親の姿も。三世代で楽しむ姿がファンの間で話題に。


6.名曲3選―入口におすすめの3曲

  1. 「花心」
    自作曲による代表的バラード。花びらのように散る恋心を愛らしく描写。

  2. 「讓我歡喜讓我憂」
    CHAGE and ASKA「男と女」のカバー。日台の架け橋としても知られる一曲。

  3. 「Who Am I?」主題歌
    ジャッキー・チェン主演映画『WHO AM I?』の主題歌。
    雄大なメロディと切ない歌詞が映画と融合。


おわりに

家族の笑顔、香港と台北の風景、そして何より歌うことへの情熱――周華健の歌声の根底には、
幼い日々から重ねた体験が息づいています。

次回は「華健のセルフプロデュース術」をテーマに、スターフェリーでの活動や
制作秘話を深掘りします。どうぞご期待ください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました