ダルビッシュ有|2025年シーズンの詳細報告〜手術決断に至るまでの激動の1年

#プロ野球

2025年、ダルビッシュ有(Yu Darvish)は、華々しいキャリアを誇る名投手ながら、右肘の度重なる不調とリハビリの難航により、最終的に手術を選択する事態となりました。

シーズン中の登板数・成績・チームの状況・本人の心境変化を丁寧に振り返ることで、
彼がWBC出場絶望的との見方を突きつけられた理由を深く探ります。


シーズン前の経緯と右肘の不安

2025年シーズンを迎えるにあたって、ダルビッシュは既に肘の炎症を抱えており、
春のキャンプからその影響が伝えられていました。

実際、3月24日付けで右肘炎症を理由に15日間の故障者リスト(IL)
入りとなったことが報じられています。 

6月17日には、40人枠の登録入れ替えの関係から、60日ILへの移行が公式発表されました。 

このように、シーズン前から完調ではない調整であったため、
復帰後のパフォーマンスには多くの注目と懸念が集まりました。


登板開始と実戦復帰

ダルビッシュは7月7日、シーズンデビューを果たしました。
相手はArizona Diamondbacksで、先発登板ながら制限75球との報道もありました。

ただし、復帰初戦の投球内容は万全とは言えず、制限付き登板という
前提付きの復帰であることが、後半戦への布石となる試合となりました。


成績概要:72イニング・15先発

2025年レギュラーシーズンにおける主な成績は以下のとおりです:

  • 登板/先発:15試合(全て先発) 

  • 勝敗:5勝5敗 

  • 防御率(ERA):5.38 

  • 奪三振数:68個 

  • 投球回数:72.0イニング 

  • WHIP:1.18 

この数字は、これまでのキャリアから見ると明らかに低調なパフォーマンス。
特に防御率が5点台に達したことは、彼にとって大きな異変と言えるでしょう。


投球内容・スプリット別分析

投球詳細として、以下の点が浮き彫りになっています。

  • シーズン途中から球数制限・登板間隔調整が取られていたため、
    フル先発(6〜7回)を任される試合が極端に少なかったと見られます。

  • スタッツ分析サイト等では、スプリッツ(対左右打者・球種別)の精度低下、
    走者出塁許容率の上昇が指摘されています。

  • 炎症および靱帯損傷前兆の影響とされる「被本塁打数」「長打許容率」が、
    この時期に増加傾向を見せており、状態の不安定さを示唆しています。


チーム状況とダルビッシュの立ち位置

所属チームはSan Diego Padres。2025年シーズンにおいて、先発ローテーションには
ニック・ピベッタ(Nick Pivetta)など好調な投手が存在しました。

しかしながら、ダルビッシュ自身が本来のエース格から「調整中・制限登板」への立ち位置変更を
余儀なくされており、チームにとっても「完全復活を待つベテラン」という扱いとなっていました。

ポストシーズン、ワイルドカードシリーズ第3戦で彼が先発を務めましたが、
結果は1回2失点で降板。チームは敗退となりました。


手術決断とWBCへの影響

10月29日(米国時間)、ダルビッシュは右肘の屈筋腱修復およびUCL(内側側副靱帯)インターナルブレース手術を受けたことが公表されました。復帰まで12〜15か月を要する見込みです。 

このタイミングおよび長期離脱となる事実から、2026年春開催予定の World Baseball Classic(WBC)日本代表としての出場は「事実上絶望的」との見方が強まっています。

39歳の年齢、過去のトミー・ジョン手術も背景に含めて、代表起用に慎重になる声が多いのです。


なぜこのような結果となったのか

肘の慢性炎症・ボーンスパーの影響

ダルビッシュは過去にも肘・肩の故障歴があり、2015年にはトミー・ジョン手術を受けています。 
今回の2025年については、春先からの違和感を抱えつつ登板を続けたことで、慢性的なダメージ
蓄積と判断されたようです。ボーンスパー(骨棘)や関節内炎症の報道も複数出ています。

調整登板・制限付き登板が常態化

本調整に時間を要し、シーズン中途からの登板となったため、「立ち上がりを欠いた」
「リズムを掴めなかった」という声もあります。限られたイニング数・登板数は彼の
持ち味である長回り・強豪相手の継戦力を発揮しにくくしました。

年齢・契約・チーム戦略の交錯

39歳という年齢、かつ2023年に6年1億800万ドルという大型契約を結んでいる現状
(残り年数あり)もあり、チームとしても慎重な起用へシフトしていた可能性があります。


見えてきた転換点としての2025年

このシーズンは、ダルビッシュにとって転換点ともいえる年となりました。好調期を下支えした
体力・関節の構造・準備期間の縮小などが重なり、これまでのマウンドの支配者から
リハビリからの復活を目指す先達へと立ち位置が変わりつつあります。

WBC出場が困難となったという現実も、彼のキャリアにおける一つの
区切りとして捉えられています。


今後の展望とリハビリの道筋

手術の成功後、復帰時期は最短で2027年シーズンと報じられています。

40歳を迎える年に再びマウンドに立つ可能性を残しており、本人も「戻ることを決めた」と
公言している点が注目です。 

チームとしても2026年のローテーションを再構築する必要に迫られており、
ダルビッシュの復帰が戦力計画上の鍵となります。

誰もがこれが最後の契機と捉える可能性もあり、後半生の投手人生がここから
再起動するか注目されます。


まとめ

2025年は、ダルビッシュ有にとって苦難のシーズンであったと同時に、
新しいステージへの準備の年でもありました。

72イニング・5勝5敗・ERA5.38という数字は彼の基準から見れば厳しいものですが、
それ以上に肘の不安・年齢・契約条件・チームの見方という複合要因が絡んだ結果でもあります。

WBC出場絶望という報により、彼の次がどこにあるのか、野球界全体が注目しています。
復帰を果たし、再びマウンドを支配する姿を見せられるのか。2025年は、
改めてダルビッシュのキャリアにとって重要な節目であったと言えるでしょう。

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