1|兄弟・家族──歌心は家族の愛情から
一人っ子の末っ子として
1971年12月15日、熊本市で生まれた茂森あゆみさんは、一人っ子として両親と祖父母の
あたたかな愛情に包まれて育ちました。
幼い頃から家族は、あゆみさんが歌い始めるとリビングに集まり、手拍子を打って大きな拍手を
贈りました。
小学校の卒業式では、祖母が縫ってくれたワンピースに身を包み、
学芸会では主役のソロを堂々と歌い切っています。
父のレコードコレクション―洋楽から童謡まで
父親は会社員でありながら大の音楽好き。家にはビートルズ、クイーン、ディズニー・
サウンドトラックなど洋楽のアナログ・レコードが数百枚。
幼稚園時代には、リズム感と音楽性を養うために「マイ・ガール」や「ビート・イット」を
繰り返し聞かせてもらい、自然と英語の発音まで身につけたといいます。
母の手作り浴衣―伝統文化に親しんだ夏
母親は家庭科の教員。夏祭りのたびに、祖母と共同であゆみさんの浴衣を手縫いしました。
一針一針刺繍された金魚や波の模様は、伝統工芸への興味を育み、
後年ステージ衣装を選ぶ際にも「和の美しさを忘れない」と公言しています。
音楽家一家への憧れ―伯母のピアノ教室
母方の伯母は地域のピアノ教室を経営。幼少期から一緒に連れて行かれた教室で、
クラシックからポップスまで幅広いレパートリーに触れ、将来は「伯母さんみたいに
音楽を伝える仕事がしたい」と夢を膨らませました。
2|地元・熊本の思い出─自然も伝統も宝物
坪井川のせせらぎ―川遊びと小石アート
自宅近くを流れる坪井川は、あゆみさんの遊び場そのもの。小学校低学年のころには、
友達と水切りを競い合い、小石を積んで「小さな滝」を作って楽しみました。
川の石を拾っては「音がきれい」と歌のリズムを試すなど、遊びの中で
知らず知らずのうちに音楽感覚を育んでいました。
熊本城と太鼓演奏―文化祭の原点
毎年夏に家族で訪れた熊本城。
天守閣前の広場で行われる郷土芸能の太鼓演奏を、幼心に「いつか大きな舞台で太鼓の
リズムを響かせたい」と憧れました。
高校の文化祭では、同級生を集めて小規模な太鼓チームを結成し、
城の演目を再現するほどの熱意を見せています。
郷土料理“いきなり団子―素朴な甘さに癒やされる
熊本の定番おやつ「いきなり団子」は、さつまいもとあんこを小麦粉の皮で包んだ素朴な味。
放課後に駄菓子屋で一つ100円で買い求め、友達と分け合いながら「お団子の歌」を
即興で作ったほど大好きだったといいます。
地元イベント火の国まつり―初舞台の思い出
中学生時代、地元の夏祭り「火の国まつり」のステージで合唱部が出演。あゆみさんはひそかに
念願だったソロパートを志願し、大観衆の前で「ふるさと」を独唱。舞台袖に詰めかけた見知らぬ
大人たちから拍手と「感動したよ!」という言葉をもらい、「歌で人をつなぐ喜び」を
実感しました。
3|うたのおねえさんまでの軌道
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武蔵野音楽大学・声楽科で首席卒業
18歳で東京へ出て武蔵野音楽大学に進学。クラシック・オペラを専攻し、卒業リサイタルではモーツァルトやプッチーニの名アリアを披露。教授からは「教育番組に最適な、澄んだ
声質」と高く評価されました。 -
数々のオーディション挑戦
大学卒業後、NHKをはじめ子ども向け番組のうたのおねえさん
オーディションを受け始めます。5年間で50回以上の敗退を経験しましたが、「子どもに寄り添う歌」を追求し続け、
ついに合格率1%未満といわれる狭き門を突破。 -
1993年4月―17代目うたのおねえさん就任
速水けんたろうさん、佐藤弘道さんとともにNHK『おかあさんといっしょ』へ。
放送初日、緊張で足が震えたものの、スタジオの子どもたちの笑顔に触れ
「これが私の天職」と確信しました。 -
伝説の「だんご3兄弟」ヒット
1999年1月、速水さんとのデュエット曲「だんご3兄弟」をリリース。番組発のシングルとして初のミリオンセールスを達成し、翌年の紅白歌合戦にも出演。
歌唱シーンのステージは、のちにNHKホールの永久保存映像とされるほどの
名場面となりました。 -
1999年4月―番組卒業、そして新たな挑戦へ
在任6年間という最長記録を残し、ファミリーコンサートをもって
『おかあさんといっしょ』を卒業。以降はクラシックコンサートやミュージカル、ナレーションなど、
多彩なジャンルで活動を続けています。
4|裏ワザ・豆知識・口コミ
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《裏ワザ》 親子で楽しむ手拍子リズム入門
歌の冒頭で「ぽん・ぽん・しゃん!」と大きく拍子を打つことで、
子どもの注意がリズムに集中。すぐ真似できるので幼児でも大喜び! -
《豆知識》「だんご3兄弟」の制作秘話
作詞家からの「お団子をテーマに」というお題に対し、速水さんが番組収録中に即興で
実食レポートを加えたのがヒットの決め手。レコーディングはわずか30分で完了
したそうです。 -
《口コミ1》
「子どもが風邪をひいて泣いた夜、『だんご3兄弟』を小さな声で歌うと、
すぐにウトウト…まさに魔法!」(30代ママ) -
《口コミ2》「大人になった今も、街で“ぽん・ぽん・しゃん!って
手拍子したくなる(笑)」(40代パパ) -
《口コミ3》「写真集を手に取ると、あゆみお姉さんの笑顔が心に沁みる。
世代を超えて愛される理由がわかる!」(50代・ファン)
まとめ
熊本の豊かな自然と家族愛に育まれた茂森あゆみさんは、武蔵野音楽大学で声楽を極め、
数々のオーディションを乗り越えてNHK『おかあさんといっしょ』17代目うたの
おねえさんに就任。
澄んだ歌声と飾らない人柄で、1993年から6年間にわたり「だんご3兄弟」をはじめ数々の名曲と笑顔を全国に届けました。
地元・熊本で培った郷土愛は今も歌に宿り、裏ワザや豆知識とともに、多くの親子に
歌のかけ橋を架け続けています。
これからも茂森あゆみさんの歌声と笑顔は、世代を超えて心に残り続けることでしょう。
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